改正貸金業法が導入した総量規制の影響で新規の借入が出来なくなったことを契機に債務整理をされる方や、大手消費者金融業者の経営破たんを知って過払い金返還請求をされる方が、ここ最近増えています。これに対して、任意整理や過払い金返還請求に対する業者の対応は、経営悪化などを理由に、以前にも増して厳しいものとなってきています。
そのため今後は、これまでのような過払い金を利用した債務整理は困難となり、任意整理などの私的整理よりも自己破産や個人民事再生という裁判所の手続を利用した法的整理が主流になっていく可能性があります。
 借金返済に苦しんでいる方は、任意整理などの私的整理や過払い金返還請求が可能な今のうちに、専門家に相談して債務整理をした方が良いでしょう。

利息制限法とは…
利息制限法という法律は、借入元本に応じた上限金利を定めており、これを超過するものは無効であると定めています。例えば、30万円を借りた場合の金利の上限は年利18%であり、これを超える金利は無効です。ところが、多くの消費者金融は、例として年利29.2%などという利息制限法で定めた金利を超える高金利で貸し付けていました。

グレーゾーン金利とは…
では、なぜ業者は、このような違法金利で営業していたのでしょうか?それは、利息制限法に違反しても、出資法という法律でその当時に定められていた年利29.2%という金利を超えた貸付でない限りは、刑事罰が科せられなかったからなのです。この利息制限法の上限金利と出資法で定められた上限金利の間の金利のことを、グレーゾーン金利と呼んでいます。グレーゾーン金利は、たとえ刑事罰が無くても無効な金利であることに変わりはないわけですから、その超過部分の利息については元来払わなくても良いお金なのです。そして、この多く払い過ぎていた利息については借入元本に充当することが判例で確立されています。




債務整理とは…
借金が返せなくなった場合やそのおそれがある場合に、債権者(貸主)と交渉したり裁判所の手続きを利用したりして、借金を減額、免除したり返済方法の変更をしたりすることです。
主な債務整理の方法として、裁判所の手続を利用する自己破産、個人民事再生、特定調停があり、裁判所の手続きによらずに債権者との交渉により解決する任意整理があります。

債務整理の種類
1.任意整理
裁判所の手続きによらずに、専門家が業者と交渉し、債務額や返済方法についての新たな和解契約を締結し、以後はそれに基づいて返済をする方法です。分割返済の場合は、引き直し計算により減額された借金の元本をおよそ3~5年程度の分割で返済する内容が一般的です。
 また、借入先の中に過払いになっているものがあれば、それを回収して他の残った借金の返済に充てることも出来ます。
2.個人民事再生
裁判所の手続きにより、住宅ローン以外の借金を5分の1程度(または100万円)に減額し、それを3年程度の分割で支払っていく方法です。債権者の同意の要否などの違いで、小規模個人再生と給与所得者等個人再生という2種類の個人民事再生手続があります。また、住宅資金特別条項を利用すれば、住宅を維持したままの借金整理が可能です。
3.個人自己破産
利息制限法引き直し後の借金を長期の分割であっても返済が不可能な場合に、裁判所に申し立てをして、もう借金を支払わなくても良いという決定(免責決定)を得る手続です。原則として住宅などの目ぼしい財産は失いますが、租税債権等の一部の借金を除く全ての借金から開放されます。
4.特定調停
簡単に言うと、裁判所の手続による任意整理です。任意整理との違いは、調停が成立すると債務名義となってしまうので、調停内容どおりに支払えなくなると給料等を差し押さえられる危険があるということと、引き直し計算の結果過払いがあった場合でも、原則としてその回収は特定調停とは別に行わなくてはならないという点です。


債務整理のメリット・デメリットメリット一覧
1.メリット
債権者からの請求・取り立てがSTOP!
利息制限法による再計算で支払総額が減額!
今後の利息を0%にするよう要求!
過払い(過払い金)があれば取り返せる!

2.デメリット
信用情報機関に登録され、一定期間ローンやクレジットを利用が困難
自己破産の場合、不動産等の価値のある財産(20万円以上)は処分の対象
自己破産や個人再生の場合、官報に住所氏名が掲載される。